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■就業規則の作成手順 


■就業規則作成前の情報収集

就業規則を作成することになったら、まず現在の労働条件や職場でのルールについて情報収集をして現状をしっかり把握する必要があります。

就業規則は原則として使用者が独自に作成することができますが、いままでの労働条件や職場慣習とあまりにも違うと無用なトラブルが発生する可能性があります。

また、労働基準法で定められている基準を理由として労働条件を低下させることはできませんので注意が必要です。

例えば、1日7時間労働であった会社が、新たに就業規則を作成するにあたり、「労働基準法では1日8時間まで労働させることができるから、これを機に当社は8時間労働と定めよう。」とすることはできません。

パートやアルバイトを雇っている会社については、これらの労働者の労働条件等についても把握しておく必要があります。

なぜなら、就業規則の適用される労働者の範囲を規定しておかないと、一般社員もパートやアルバイトも同じ労働条件で適用することになってしまいますので、職種別に労働条件を規定するのであれば、別の規則を作成する必要があるからです。

職種別に異なる規則を定めていない場合に、問題になるケースとしては、就業規則に退職金規定を定めており、パートやアルバイトについて別規則を定めていない会社では、パートやアルバイトに対して退職金を支給する予定がなかったとしても、就業規則に規定してる退職金の計算方法で計算した退職金をパートやアルバイトに支払わなければならなくなる場合などが考えられます。

■就業規則原案の作成

「就業規則作成前の情報収集」で把握した内容を基に就業規則の原案を作成します。

この原案の段階では、内容が労働基準法等の法令に違反していないか、就業規則に記載しなければならない絶対的必要記載事項や相対的必要記載事項が網羅されているかを重点的にチェックしながら作成します。

原案が完成した段階で、会社の実態と異なるところがないか最終的にチェックすることが重要です。

よくあるケースでは、モデル就業規則や大企業の就業規則を丸写しして原案を作成している会社がありますが、この場合は法令違反等については問題ありませんが、会社の実態と異なる場合が見受けられます。

小さい会社などでは、この段階から積極的に労働者の意見を取り入れるようにしたほうが良いと思います。

■労働者からの意見の聴取

作成した就業規則の原案について、労働者から意見を聴きます。

この意見聴取については、「労働者の同意を得ること」や「労働者と協議すること」といった趣旨ではなく、使用者が作成した原案について労働者が検討し、意見を述べるための時間的余裕を与えできる限りその意見を尊重するといった趣旨です。

よって例え労働者の意見が全面的に反対の意見であっても、意見を聴いた場合は手続上は問題ありません。

しかし、労務管理を効率よくすすめるためには、できるだけ労働者の意見を参考に、検討できる部分については再度見直すことが良いと思います。

なお、労働基準法では、労働者の意見を聴く相手方を次のように規定しています。
事業場に過半数の労働者で組織する労働組合がある場合はその労働組合から
労働組合がない場合や労働組合の組織率が労働者の過半数に満たない場合は、事業場の労働者の過半数を代表する者から

(参考)
労働者の過半数を代表する者の選び方について

管理監督者が代表者になることや使用者側が一方的に代表者を指名したとしてもそのような者は代表者として認められません。
労働者の投票や挙手などの民主的な方法で選ばれた代表者である必要があります。
しかし、実務上は、労働者に代表者を選ぶように言ってもなかなか決まりませんので、使用者が代表者選挙についての通知文書等を作成してお膳立てをし、後は労働者で選挙するような方法がいいと思います。
注意点としては、選挙や代表者選出については使用者が口出ししないことと民主的な方法で代表者が選出されたことを客観的に証明できるように選出の経過について書面化しておくことです。

■就業規則の作成

作成した就業規則の原案を基に、労働者からの意見も参考にし、就業規則を作成します。

労働トラブルが発生した場合には、就業規則にどのように規定されているかどうかが重要なポイントになりますので慎重に作成する必要があります。

社内で独自に就業規則を作成する場合でも、最終的なチェックは、労働法の実務に詳しい専門家の助言を得ることをおすすめします。

(参考)
平成16年からの労働基準法の改正で解雇する場合の事由について具体的に就業規則に記載することが求められていますが、いろいろな会社の就業規則をみていますと、解雇の規定について「勤務成績、業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、就業に適さないと認められるとき」と定められていることが多いです。

しかし、職務能力が低いことを理由として解雇する場合には、上記規定では不十分で、会社として教育訓練を行い、業務の担当を代えるなど具体的な処遇を行い、それでも改善が認められないときにはじめて解雇できるようになります。

具体的には次のように規定しておく必要があります。
(例)勤務成績又は業務能率が著しく不良で、教育訓練を十分に行い又は配置転換を行うも改善の見込みがないと判断される場合はその者を解雇する。

※実際に運用する場合は、研修を十分行い及び上司が直接マニュアル等で教育し、その結果を書面に残し、それでも改善の見込みのないことを客観的に示したうえで解雇することになります。

■就業規則を労働基準監督署長に届出する

就業規則が完成したら、労働基準監督署長に届出します。
このときに労働者の意見を聴いたことを証明する意見書(労働者代表の署名が必要)を添付します。

意見書の内容については就業規則の内容について反対の意見であっても問題なく、労働者の意見を聴く機会を与えたのに労働者側が意見を表明しない場合や労働者の代表者が意見書に署名しない場合であっても、使用者が労働者の意見を聴く機会を付与したことが客観的に証明された場合は、就業規則は受理されることになっています。

意見書の書式については特に規定されていませんので、独自に作成してもかまいません。

■就業規則を労働者に対して周知する

就業規則の効力が発生し、拘束力が生じるのは、労働者に周知したときです。
よって、就業規則は、次の方法により周知する手続きをする必要があります。

(周知の方法)
常時各作業場の見やすい場所へ就業規則を掲示するか備え付ける
就業規則の写しを労働者に交付する
パソコン等に就業規則の内容を記録し、そのパソコン等を労働者が常時確認できる場所に設置する

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