労働基準法の基礎知識について解説
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■労働基準法の用語(定義)


■労働者とは?(法第9条)

労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいいます。
なお、労働基準法上の労働者に該当するかどうか(実質的な使用従属関係があるかどうか)は、次のように判断します。
よって、例えば、一般的には労働者とみなされない請負契約で働いている人であっても、実質上の使用従属関係がある場合には、労働基準法上の労働者となることもありえます。
勤務する場所、勤務時間の拘束をうけているかどうか。
賃金が労働の対償として支払われているかどうか。
使用者の指示に対して拒否する自由があるかどうか。
使用者の指揮命令の下に労働をおこなっているかどうか。

(具体例)
労働者に該当する人 労働者に該当しない人
新聞配達員 競輪選手やプロゴルファーなど
法人等の役員で、部長・工場長といった業務を兼務している人 受刑者
労働組合の専従職員(使用者から在籍のまま組合事務の専従を認められた場合) 法人等の代表者

(参考)
「使用される」とは?
使用されるとは、使用者の指揮命令の下に労働をおこなうことをいいます。つまり使用従属関係がある状態のことをいいます。
「賃金を支払われる者」とは?
賃金を支払われる者とは、使用者に労務を提供しその対償として賃金をうける者のことをいいます。

■使用者とは?(法第10条)

使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいいます。
よって、労働基準法上の使用者は、地位や役職名で決まるのではなく、実態に応じて判断することになります。

(参考)
「事業主」とは?
事業主とは、法人の場合では法人そのもの、個人事業では事業主個人をさします。
「事業の経営担当者」とは?
事業の経営担当者とは、取締役、理事、支店長、工場長などのように事業の経営に関し責任を負うものをさします。
「事業主のために行為をするすべての者」とは?
事業主のために行為をするすべての者とは、総務部長、人事課などのように人事労務管理について権限をもっているものをさします。

■賃金とは?(法第11条)

賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいいます。

(具体例)
労働基準法上の賃金に含まれないもの
使用者以外のものが支払うもの(お客からもらうチップなど)
任意恩恵的なもの(大入袋や災害見舞金など)
福利厚生的なもの(住宅の貸与や食事の提供など)
実費弁済的なもの(旅費や日当、制服の貸与など)


(参考)
「労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」とは?
労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものとは、使用者の指揮命令によって労働者が労務を提供し、その対償として賃金を支払われる関係をいいます。

■平均賃金とは?(法第12条)

平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいいます。
なお、平均賃金は、解雇予告手当、休業手当、年次有給休暇中の賃金、災害補償、減給の制限などの金額を算定する場合に必要となる労働者の賃金の日当(賞与等は除く)のことです。そのために各労働者間で不公平がないように労働基準法で算定方法が定められています。

算定方法について
(原則)

(算定事由発生日以前3ヶ月間に支払われた賃金総額)÷(算定事由発生日以前3ヶ月間の総日数)

※注意点
総日数とは、期間中の労働日でなく、暦日の日数です。
条文では、「以前3ヶ月間」となっていますが、実際に計算する場合には、算定事由発生日は含みません。
賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算して計算します。
採用後3ヶ月に満たない者については、採用後の期間を算定期間とし、その期間中の日数と賃金総額で計算します。

(例外)
1.賃金が日給、時間給、出来高払制の場合
(算定事由発生日以前3ヶ月間の賃金総額)÷(算定事由発生日以前3ヶ月間の労働日数)×60/100
上記で算定した金額と原則的方法で計算した金額と比べてどちらか高い方を採用します。

2.賃金の一部が月給、週給の場合
(算定事由発生日以前3ヶ月間の月給、週給の総額)÷(算定事由発生日以前3ヶ月間の総日数)+上記1の計算式で求めた金額
上記で算定した金額と原則的方法で計算した金額と比べてどちらか高い方を採用します。

3.日雇労働者の平均賃金
(算定事由発生日以前1ヶ月間の賃金総額)÷(1ヶ月間に労働した総日数)×73/100

■平均賃金の算定から除外する賃金総額及び期間
平均賃金が低くなるのを防ぐために次の期間及びその期間中の賃金総額は除外します。
業務災害(私病の場合、通勤災害は除く)による負傷又は疾病の療養の為の休業期間
産前産後の休業期間
使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
育児・介護休業をした期間
試みの使用期間

※注意点
上記期間が算定事由発生日以前3ヶ月間にわたる場合や雇入日に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合は、都道府県労働局長が金額を定めます。
試みの使用期間に算定すべき事由が発生した場合は、その期間中の日数と賃金で算定します。

■平均賃金の算定から除外する賃金総額
平均賃金を算定する場合に、次の賃金については除外します。
臨時の賃金(退職手当、私傷病手当など)
3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
法令や労働協約に基づいて支払われる以外の現物給与

※注意点

年4回以上支払われる賞与については、合計額を12月で割って1ヶ月あたりの金額を求め賃金総額に算入します。
労働協約に基づいて通勤定期券を現物支給する場合は、賃金総額に算入します。(6ヶ月定期券を支給している場合は、定期代金を6月で割って1月あたりの金額を求めてから算入します。)

■平均賃金の算定事由とその起算日
算定事由 起算日
解雇予告手当 解雇通告をした日(解雇日を変更した場合でも最初に通告した日)
減給の制裁 減給制裁の意思表示が相手方に到達した日
災害補償 事故発生日又は診断により疾病の発生が確定した日
休業手当 休業の開始日
年次有給休暇 休暇日(2日以上連続する場合は最初の日)

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